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更新日:2008年8月19日(火)
特集

9月号 特集3 「健康自給率向上」の実技講座開講



伊藤誠夫 「遠友・いぶき」幹事(学校法人総合技術学園 理事) 

■リタイアも珍しくない団塊世代が「公」の世界にもう一度戻ってくるとすれば、今までの生き方のリフォームだろうか。使える過去をフルに活かしながら、後代の役に立とうとすることは「ネットワーク」が持つプラス素材の「希望」にスイッチを押すことだ。その一つ、「健康領域」への取り組みを当事者が報告する。   

全体構成 

(1)健康自給率向上を掲げる前史
(2)人間の発生学から説く健康指導
(3)健康も依存から自立へ
(4)「故郷」という地縁ネットワーク
(5)危機感共有のゲスト講師陣
(6)信頼されなかった「技」よ、サヨウナラ
(7)実効性ある「技」よ、コンニチハ
(8)「ネットワーク形成」の心得

(1) 健康自給率向上を掲げる前史

 この講座が実現するまでの経過は「ネットワーク形成」のタマモノである。この「健康自給率向上」の実技講座がスタートするにいたった地点らしきところを大河の源流を訪ねるように山奥までさかのぼっておきたい。それが今後の「ネットワーク形成事業」の参考になれば何よりである。
                   *
 3年前、「北海道寺島塾」という任意団体が、私が勤めていた札幌科学技術専門学校の教室を会場にして不定期ながらも一般市民や学生を対象にして講演会を開いていた。
 非営利で行う市民活動の常として、この塾も運営に関わる会場費をできるだけ低く抑えたいという希望をもっていた。学校としてそれに協力をさせてもらったことに今回の実技教室の出発点がある。その塾は、何人かの講師の方々がご自分の専門領域を一般市民に向けて平易に、そして熱心に語っていたことを思い出す。講師は北海道大学の若手研究者だったり、当時の日本銀行札幌支店長だったり、そして何度か登場されたのが、最近もテレビに良く登場される(株)三井物産戦略研究所の寺島実郎氏であった。

 どの回も北海道が自立するための方策を述べ、それに向かって行動することを勧める点で共通していた。そのような「種」が若い人中心の運営によって蒔かれていたのだ。そのユニークな取り組みと、北海道内に限らないが医療の崩壊が強く言われるような社会環境になってきていたことと、それへの自衛策を住民レベルで創出できないものかと、個人で考えていた。
                   *
 それらを結びつけてくれたのが、財団法人・秋山記念生命科学振興財団(以後、秋山財団)の新規事業の話である。「ネットワーク形成事業」という新しい枠組みを財団が準備している、ということだった。同財団はすでに「社会貢献活動助成」を2003年からスタートしているが、さらに新しい動きを起こそうとしていたのだった。
                    
 そのような情報を入手できたことは幸運に違いなかったが、そこには「北海道寺島塾」の活動を手伝っていた方と私との接点が今回の講座実現の伏線としてあることは確かである。つまり、「点」であった講演会が、ここにきて健康の自給率を上げようという発想とその最適任者と確信できる実践者(山部嘉彦氏)を結びつけることで「線」になったと思いたい。
 これが「社会的ネットワーク」の一つの形態ではないかと思う。結びつくまでは無関係でバラバラの存在だったものが、あることを契機に結合し始める。今回のことで言えば、秋山財団の支援という雪の結晶の核になるものが提供されたというたとえが理解されやすいだろう。

(2)人間の発生学から説く健康指導

 実は40年来の友人である福岡在住の山部氏(今回のメイン講師で札幌出身)については、3年前に「ハイパーレッスン」と名乗る気功教室の札幌開催を手伝っていたことがあった。その後、私の勤務する専門学校でも教室を会場にして、初歩的な気功、さらに山部氏の「筋診断」(体の経絡にあるツボを活用して、体調を整える施術)などを伝授する市民向けの講座を行ったことがある。

 参加者は、それぞれの健康増進を願って熱心に参加して下さった。しかし、諸般の事情からその講座は、1年で終了した。福岡からの交通費を賄うだけの受講生を集めることがいかに難しいものであるかということを実感した。割安の航空券があると言っても、札幌教室のために1泊2日で来札して、とんぼ返りのようして東京会場に向かう山部氏の姿を見ながら、故郷への思い入れだけでこの事業を続けてもらうわけには行かなかった。

 そうしたこともあって、山部氏の札幌での実技講習会の継続は、頓挫していたのだが、最初に申しあげた「北海道寺島塾」の活動の手伝いをしていた知人から、秋山財団の新規事業枠に応募する道がありそうだ、との連絡を受けた。
 早速、以前から耳にしていた同財団のことをインターネットで調べた。札幌育ちの私にとっても「秋山愛生舘」という明治創業の地場企業の薬卸問屋が母体になっていることは、ぼんやりと知っていた。しかし、医療系の財団という程度の認識であったから、山部氏の伝統的で東洋医学系の民間療法と見られることもある分野に応募資格があるとも思えなかったのが正直なところであった。

 それでも、山部氏の身体論を基本にした「気功」や、経絡を活かした体調の整え方などを身近なところで何度も見ていて、実際に私が習ってみてカンベンな身体調整法で体調が驚くほど(個人差はあると思うが)改善された経験を持つ身としては、このワザをもう少し多くの人に知ってもらえたら、と思っていた。そこで知人を介してこの教室開催に向けての企画書を財団に提出して、助成を申請したのである。メイン講師の山部氏にも何度か連絡をとって、実現の折には、どのようなやり方でこの教室を運営するかなどについて、逐一、確認をしていった。

 山部氏にしても長年にわたって蓄積してきた身体に対する知識、技術などを次の世代に伝えることは、団塊世代として還暦を迎えた今、責務である、という思いもあった。そして、氏が20年以上も追究してきた「気功」が、日本社会で定着しなかった事実に謙虚に向き合う姿勢もはっきりしていた。団塊世代の最後の社会への働きかけの覚悟ももっているように私には感じられた。
 この講座の主目的は、「健康分野」で自立できるような個人、地域の育成に少しでもお手伝いできる人材の育成にある。そして、社会問題化している医療体制崩壊を防ぐために、市民レベルでの市場メカニズム(健康教室の主宰)を取り入れながら社会に貢献する流れが生まれることを期待している。その前提に、お世話をする健康指導員自らが、健康である必要があり初年度は、そこからの出発点になる。

(3)「待たれていた講座」にするために

 話は少し迂回する。
 最近のニュース報道で急激に増えてきたのが、「食糧」問題である。工業製品を売ってその代金で農産物を買えばいいんだ、という一昔前の経済政策は、食糧の囲い込み、輸出禁止などの世界潮流の前に瞬く間に破綻しつつある。俄然「食料の自給率」を高める話が盛り上がってきているのだが、国民の生命に直接結びつく「食」の重要性と同様にそのイノチそのものを健全に駆動させるための「健康」維持も重要である。

 食料に自給自足の視点があるように、健康にも自給自足のアクションがあっていいだろう。健康食品、栄養補助食品などの広告氾濫は、その市場の大きさと需要の高いことを示している。ただし、それは「消費者」の創出を願う人たちの編み出した甘言であることも確かである。その多くはお金を支払うことによって「ラクチン」状態で健康は購入できると信じる人たちのグループでもある。それもいい、と思う。

 しかし、それはどこか工業製品を売って得た利益で農産物を購入できると思い込んできたマヌケな国の政策に似ていないか。つまり、振り回されるだけ振り回されて、挙句の果てに待っているものは、「金の切れ目が縁の切れ目」という経済原理、「まず自国民優先ですよ、お金じゃないんだよね」という政治原理の一言で補給を断たれるシナリオである。自立していない悲しさである。

 「健康」でありたいと願っていても、それを支える医療体制の崩壊は、いまや地方だけでなく都市でも問題が顕在化している。このような現実は、「健康」の自給自足を目ざす人たちにその知恵と技術を提供する時機の到来を告げているように思える。今回の講座は、まさに潮の満ちてきた時に舟を漕ぎ出すようなタイミングでの「健康」自立への試みなのだ。

 その「知恵」と「技術」を長年の「気功教室」や、関係者とのコラボレーションを九州の福岡で20年以上も積み重ねてきているのが、札幌出身の山部嘉彦氏である。母上が札幌でご健在という縁もあって、過去にも山部氏による実技講座や、少数の人たちによる定期的な集まりももってきていたのだが、それが大きく評判となることはなかった。その理由は多々あるだろうが、物理的な福岡―札幌の空間的な距離が、交通費という形になって大きな障害になっていたことは確かであった。

(4)故郷という「地縁」ネットワークが引き出す力

 今回、そこの部分を秋山財団の助成を得ることでクリアできることになった。さらに、故郷の疲弊ぶりは、遠く福岡に住む山部氏にとっても気がかりであった。その思いは、今回の企画の相談を積み重ねる中で吐露された以下の文言からも窺い知ることができる。

――<昔の光、今いづこ>私は生れも育ちも北海道ですが、22歳の時に小樽を離れて以来、内地暮らしで、たまに父母が暮らす札幌に帰るという関わりでした。その間札幌の街が大きく変わったという印象はありません。しかし、私が知っていたほかの街は変わりました。小樽。函館。釧路。旭川。岩見沢。衝撃でした。みな例外なく、さびれきっているという印象を受けたからです。それは、九州の中核都市、福岡とその周辺の都市の活気に私が慣れているからかもしれません。あるいは私がそれらの町の自分の知っている界隈を歩くからなのかもしれません。
 いつと比べているかと言えば、1970年(昭和45年)までの北海道と比べています。若い人の感覚では大昔と言っていい。40年前ですからね。昭和30年代の北海道は基幹産業がしっかりしていました。農業、酪農業、漁業、鉱業。しかし、これらは北海道開発庁肝入りとでもいうのか、官業、公共事業という下支えがあっての繁栄だったのですね。

<地道な再生計画を>ですから、30年の間に(10年前までに)、札幌の一人勝ちと、数えきれない敗残の夕張に象徴されるように北海道の辺境には希望のカケラもない状況となりました。観光で食っていこうという政策はカネ余りの経済環境あってのことで、カネがなけりゃ人は来なくなります。それに今の北海道観光はイベント観光で、出稼ぎの逆、一時的な待ち稼ぎだから、撒き餌をやらなきゃ寄って来ない仕組みになっています。地道にモノを作る、地産地消を基本にして生活をエンジョイするというのを土台にしてこそ、観光とか貿易のハナシになるんじゃないか、などと福岡からは見えてくるのです。――

(5) 危機感を共有する人たちが応援快諾

 福岡から北海道に駆けつける山部氏に呼応するかのように、今回の講座について地元で協力をしてくれるゲスト講師の方々を紹介する。
 これらの方々もまた、北海道に住みながら、現状に対して「うん?」と小首を傾げるか、もっと積極的に社会に働きかける意欲において実績をお持ちの方々である。年代においても老若の条件を備えている。その陣容を6回の講座登場順に記載すると次の通りである。

 7月13日(日)=丸山淳士医師:山部氏と旧知の五輪橋産科婦人科小児科病院名誉理事長で1938年生まれの柔道高段者にして話術の達人でもある。初回のゲスト講師である。
 この初回は約20名の方々(医師、歯科医、元市長、看護師、高校生などなど)の参加を得て好評だった。その様子は順次ブログで公開されることになっているが、ゲスト講演の丸山医師のショート講演の概要は公開されている。
参照:【遠友・いぶきブログ】
http://www.e-ibuki.net/page_1216368427812.html

9月13日(土)=唐沢豪貴氏:山部氏の技術をよく知る、薬剤師で伝統日本漢方からさわ薬局代表で1972年生まれの若手。予定演題は「昔の漢方、今の漢方、そして明日の漢方」。

11月8日(土)=今井浩三教授:癌の権威でもあり、札幌医科大学学長で1948年生まれ。予定演題は「昔のガン、今のガン、明日のガン」。

1月10日(土)=斉藤成彦氏:ボストン大学を卒業して歯科医に。札幌駅にあるJRタワーオムニ歯科院長で1968年生まれ。予定演題は「昔の入れ歯、今の入れ歯、明日の入れ歯」。

3月14日(土)=束原文郎氏:スポーツ学に明るいは札幌大学講師で1977年生まれ、ゲスト講師としては最年少。予定演題は「昔のサッカー、今のサッカー、明日のサッカー」。

5月9日(土)=瀧元誠樹氏:札幌大学准教授にして古武術家という方で1969年生まれ。予定演題は、「昔の武術家、今の武術家、明日の武術家」。

 通年講師は、山部嘉彦氏でNPO福岡気功の会主宰・札幌出身の1947年生まれ‥‥となっている。
 
 ゲスト講師陣の中で最年長である丸山医師は、この話の相談に伺った際に、快諾の後に一言おっしゃってくださった。「愉しくやろう!」と。ゲスト講師の方々もご自分のもっている現場で、北海道民の困っていることへの解決のお手伝い、社会に対しての働きかけなどをすでにされているのだが、丸山医師以外は通年講師の山部氏を知っているわけではない。それでも、この秋山財団の助成する事業については一肌も二肌も脱いでいただけることになった。「ネットワーク」の妙である。

(6)信頼されなかった「技」よ、サヨウナラ

 「気功家」の山部氏は、日本の気功界が現在、陥っている状況を冷静に捉えている。その上での本講座の開始である。ご本人の弁は‥‥。

――<信頼を得る健康指導内容で‥‥>気功の世界に足を踏み込んで約20年。でも、気功は全国どこを探しても、どの世代にも、どの分野にも全く根付きませんでした。主因は、カネを稼ごうという貪欲な健康指導者だったり、自分の知識や技能が偏っている自覚に乏しかったり、エセ科学に迎合する人が少なくなかったり、医師や世間から信頼を得ることができなかったことにあります。
 その間にも、社会は自由競争が蔓延して「少子高齢化社会」「大都市一極集中」「地方の過疎化」「人心の荒廃」という状況になりました。札幌に一極集中して、北海道全体として何かいいことがあるのか。東京に一極集中して国全体として何かいいことがあるのか。国の理想像の一つは、国としての一体感があり、地方が元気なことでしょう。
 そのためには、最初の一歩はどこに踏み出したらいいのか。それは、地方に暮らす人が健康であることです。『健康の要諦は食・息・動・想を調えること』と看破した先生がいます。時代や環境が変わっても人間の自然は不変です。
 職場環境も家庭環境も、ここ30年間に大きく変わりました。身体への負荷は小さくなり、足腰は昭和時代と比較してさえ非常に弱くなりました。食生活も欧米化し栄養過多・偏向が強まり、高齢化社会と共に医療体制は危機的状況です。健康をつくっていくことが必要な理由がここにあります。自分たちの力で「医者いらず」の成果を上げ、医師を本当に必要とする人たちに振り向けたいと思います。――

 というように、この山部氏の講義は、たんに体の仕組み、動かし方のノウハウを提供しようというものではない。当のご本人も認めるように、理屈が多い。ただし、屁理屈ではない。この20年の体験、知識、技術の積み重ねが山部氏の中にテンコモリ状態であるのだが、初めて聞く人の頭の中は、混乱してしまうかもしれない。そこで、今回の講座のテキストに『胎児の世界』(三木成夫著・中公新書)を掲げている。体のことについては、人間の発生学を基礎知識として知っておいてもらえれば、講座への抵抗感も薄らぐことを期待している。逆に、同書を読んでもチンプンカンプン、興味も湧かないという人には、お勧めできないことになる。

(7)実効性ある「技」よ、コンニチハ

 山部氏は福岡での実践歴として九州大学医学部の藤野武彦教授(現在は名誉教授)と15年近くも継続してきているセミナーがある。その15年間近くの経験からも、現代人の抱える「体の悩み」の共通点の把握、改善点も提示もできるのだが、本講座の初年度は6回の講座で、以下のようなポイントの指導を考えている。
 実際の受講生の方々の要望も組み入れながらの実技講座を考えているので、あくまでも予定である。参考までに6回の『主食』になる項目を掲げておくが、山部氏のレパートリーは多いので『副食』にも期待してもらっていいだろう。

「第1回」・男の頑固と女の尿漏れ
‥骨盤編:腰を鍛えなおす“技あり”
→原因は骨盤周辺の筋肉・靭帯の衰え

「第2回」・猫背と顎出し
‥背骨編:肩・背の柔軟性を取り戻す“技あり”
→原因は老婆への道を無意識に歩むため

「第3回」・眉間の皺とへの字口
‥アタマ編:ボケ撃退の“技あり”
→原因は老人坂への転落の無自覚さ

「第4回」・肋骨の下に内臓脂肪
‥内臓編:胴体を捻る“技あり”
→原因は中高年の「ま、いいか」生活の誘惑

「第5回」・ツバが出ない干乾び
‥免疫・自律神経編:心身の敏捷性を取り戻す“技あり”
→原因は人生の生命活動低下への無抵抗

「第6回」・故障する前の修理
‥総集編:心身の野生を取り戻す“技あり”
→原因は内在するエネルギーのウタタネ状態

(8)「ネットワーク形成」の心得

 最後に本講座が、3年後の受講生による「地域コミュニティ」の健康教室の小さな、小さな場が誕生して、そこに集まる人たちが地域内、仲間内で互助関係をもってもらえるようになれば大成功である。その道具に、山部流メソッドが役立つならば、この講座の主目的を果たすことになる。
 ここで受講された方々が地域に戻って活動され、さらに受講生同士のネットワークが生まれ、「同窓会」に顔を出して情報交換と技能交流の場として機能する教室を願っている。しかし、山部氏の実体験から見込んでいる数字は、最初30人に教えはじめても、1年たってみると減るという経験則に基づいて、3年間やって50人の健康インストラクターが養成できて各地域で「タネ蒔く人」となる日を夢見ているスタート時の思いである。

 そして初年度の「話」だけを頼りに参加を申し込まれてきた方々の進取の精神に敬意を表するのは当然として、ゲスト講師を快諾してくださった方々にも感謝するばかりである。
 ましてや、助成金を出していただいた秋山財団の存在は、大きすぎてお礼の言葉も見つからないくらいである。

 本グループの「ネットワーク」に対する基本的な座右の銘とも言うべき言葉を2つ紹介しておきたい。

 一つは古典的なもの。
 「石を積み上げて家を作るのと同じように、科学も事実の積み重ねの上に成り立つ。けれども、事実を集めれば科学になるのではない。石を山のように集めても家にならないのと同じことだ」(アンリ・ポアンカレ『科学と仮説』岩波文庫・1938年)

 もう一つは、痛くない注射針を開発した東京の6人の町工場社長のもの。
「もう一度、言っとくよ。ほんとに貴重な情報ってのは、あらたまった場で出てくることはまずないね。打ち合せをしましょう、なんてときは、その話に終始するもんだから、情報の『ポロリ』はないんだ。酒でも飲んで、ワイワイガヤガヤやってるときに、「そういえば、このあいだA社に納品に行ったときに、ちょっと耳に挟んだけどさ‥‥」なんて極上な情報が出てくるわけさ」(岡野雅行『人生は勉強より「世渡り力」だ!』青春新書・2008年)

 今回の講座を運営する事務局の「遠友・いぶき」についても一言、補足をしておく。
 このグループは、冒頭に紹介した「北海道寺島塾」の前身である「北海道遠友夜会」(2001年晩秋に3年間の活動と区切ってスタートした新渡戸稲造をテーマとする市民活動)を発祥とするメンバーの一部が、何らかの社会活動を継承しようということで活動してきている。事務局を手伝う人たちにとっては、今回の活動もその実践版の一つという気持ちだと推察する。
 メイン講師の山部氏の意気込みも補足しておきたい。本講座の生まれる時代背景は(第4章)でも述べているが、最後に、講座で特に意識していることを氏の言葉で補足する。氏は、「健康指導」が広まらない理由を2点指摘する。
――一つは、医師が資格のない健康指導者を軽蔑し、医師や現代医学の実態を批判する健康指導者を排撃する傾向があることです。もう一つは、健康指導者が自分の知識や技能が偏っている自覚に乏しく、エセ科学に迎合する人が少なくないことです。さらに、健康指導者間の風通しが悪く、対立的で互いに中傷するケースがよくあり、大局的な立場で発言できる人が少ないのです。どうしてでしょう。それは健康指導者が質のよしあしにかかわらず、そのほとんどが、カネを稼ごうという貪欲な気持ちで叫ぶからです。かつての名だたる体育家はそうではありませんでした。(中略)まことにおこがましく聞こえるでしょうが、私には、技術も経験も智慧もあります。これらは、用いられるために私の心身を介して与えられたものです。しかし、伝え方は私の才覚ですから、稚拙です。ですから、教室は、意欲のある人が、私のもっている技術・経験・智慧を引き出し、協同して、現場に適応する形に作り上げるマニファクトリーにしたいと思っています。――

 これらの経験、目的、その基本にある社会へ働きかけようとする団塊世代ネットワークは、本講座を3年計画で進めるが、初年度の2回目が9月に開催される。
【遠友・いぶきブログ】】
参照:【遠友・いぶきブログ】
http://www.e-ibuki.net/page_1216368427812.html









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