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HOME > 卓見・愚見(投稿欄) > 第4回 わが身のルネッサンス
更新日:2008年1月10日(木)
卓見・愚見(投稿欄)

第4回 わが身のルネッサンス



中里準治 「寧楽共働学舎」ボランティア

 この歳になると元旦は本来は心静かにお香でも焚いて無念無想、宮本武蔵の境地で一年の計を図るべきでしょうが、生来のがさつ、大雑把に加え、おっちょこちょいの先走りという性格ゆえ、いくつになっても宮本村の武蔵(たけぞう)から一歩も進歩していません。 



正月用。門松の代わり
ここの冬の生活。原毛を紡いでいます。


 いやになります。

 で、急遽として思いついたのが、今年は自分史上のルネッサンス幕開けの年にしようということです。
 忘れっぽくなる、短気になる、頑固になる、と、まあ、人生後半の年代になると頭の柔軟性が音を立てて崩れていくのが分かるようになりますが、それをただ呆然と眺めているだけではご先祖様に申し訳が立たず、いっちょ踏ん張るかということであります。

 で、踏ん張るための武器はまず2つ。
 いい加減にさびついた感受性と言うかセンス・オブ・ワンダーと、心の底に沈殿しこびりついている分だけの残り僅少の好奇心。
 まあ、心境としてはよれよれのドンキホーテが、弓を持てぃ馬をひけぃとサンチョ・パンサに怒鳴っているようなものですが、とにかく、出陣したほうが勝ちよ、ということといたしたい。

 さて、もうひとつの武器は古今東西の賢人にお出まし願うというスゴイやつ。
 簡単に言ってしまえばわが蔵書に再登場願うということです。インターネットの「世界傑作名言集」というサイトも手軽で為になっていいですね。とにかく、世界の諸先達に教えを乞うという作戦。

 例えば、日頃の愛読の書にカリール・ジブランという19世紀後半から20世紀前半を生きたレバノン人の詩人で哲学者が書いた「預言者」という本がありますが、この中に「理性と情熱について」という章があって、「あなた方の魂は、しばしば戦場のよう。そこでは理性と分別が情熱と欲望に戦いをいどみます・・・理性と情熱、それは海を渡っていく魂の舵と帆。

 舵であれ帆であれ、どちらが痛んでも、あなた方は波のまにまに漂うか、広い海原にじっと風を待つだけ。
 なぜなら、理性が支配するだけなら、そこは抑制しかなく、情熱があるだけなら自分を焼き亡ぼす炎しかない。

 それゆえに、あなた方の魂をして、その理性を情熱の高みへとたかめなさい。理性がそこで思うがままに歌えるように。そしてさらに、理性によって情熱を導かせなさい。そうしてこそ情熱は日々新たによみがえり、不死鳥のように、自分の灰の上に起ち上がって行きます・・・」といったことが書かれています。

 わたしは幼稚にも理性と情熱は対立的な存在として考えていたのですが、それは魂が海を渡っていく時の舵と帆だ、理性が舵で情熱が帆だ、と言われてみて、これは完全に目からウロコでした。 
 泳げないヨットマンゆえにヨットの舵が壊れたらどうなるか、帆が破れたらどうなるか身をもって体験しているだけに実に良くわかる例えなのですが、それにしても素晴らしい。

 しかしこの作戦は結局はさびついた感受性で本を選んでいくことになるという落とし穴があって、下手をするとますます頑固頑迷になっていくのでは、と実は大分不安があります。
 本は教えてくれるけど間違いを叱ってはくれませんからね。

 そこで、最終兵器は人生の師となる人物を見つけ教えを乞うこととしたいけども、これもどうやって見つけて良いやらと右往左往するだけのことはみえみえ。この人に教えを請えとあてがわれるものでもないでしょうし、だいたい本人が何を教えて欲しいことすら分からずという状態では何をかいわんやということでボツ。

 そこでまたまた助け舟が急速浮上。

 映画です。
 それも名作と言われているものを片っ端から観ること。これなら出来そうか。で、一発目はなんと「鬼平犯科帳 山崎屋お勝」というテレビドラマを録画。
 ・・・なんだか、先行き不安だらけのルネッサンス計画だけど、とにかく出発進行、やってみなはれ、みとくんなはれ。




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