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更新日:2007年12月13日(木)
卓見・愚見(投稿欄)

第3回 メリークリスマス



中里準治 「寧楽共働学舎」ボランティア

 メリークリスマス。ここ寧楽はすっかり一面の銀世界で目がまぶしいばかりです。
 白い平原と化した田畑の中に点在する家々からはストーブを焚いている白煙が空に昇っています。そして家の中ではストーブが赤々と燃え、家族でストーブを囲んで団欒の時間を過ごしているだろうと想像すると、なんだか気持ちがとても穏やかになってきます。 



とうもろこし人形の天使
冬の宿舎(寧楽共働学舎・小平町)


 そう、今年のクリスマスはとても穏やかに、ゆったりと過ごせそうです。とても嬉しいです。というのは、去年のクリスマスはカミサンが5月に亡くなったため、最悪中の最悪だったからです。 たった一人のクリスマスをどう過ごせばいいのか、家の中はカミサンが居た時のままで、まるで遺跡の中で生活しているようなものだし、家の中を取り仕切っていた人が不在というのはお尻の座り具合が悪く、なんだか自分の家じゃないような気もする。

 カミサンの手料理も焼いたケーキもないし、といった風ですっかり途方に暮れていました。

 ・・・カミサンの闘病は3年半ほど続きました。手術後たった3ケ月での再発、1年後のガン消滅、そしてまた3ケ月後の再再発と、まるで見えない手に翻弄され続けた毎日でした。
 そしてこの間、われわれ二人が求めた続けたものは生きる希望でした。また、治ったら二人で小さな喫茶店をやろうという夢がありました。カミサンは、すこし病状が好転すれば大喜びし、悪化すれば必死になって辛い治療に耐えました。
 片割れのわたしは、ドクターに「奥さんにはもう効く薬がありません」と言われないように毎日ネットで新薬の情報を探し続け、見つけてはドクターと相談する日が続きました。

 去年の年初くらいからカミサンの闘いはとうとう矢尽き刀折れ、最後の土壇場に追い込まれました。しかし、それでもまだ降伏を潔しとせず、素手をもって闘い続けるという壮烈なものでした。そして、生涯忘れえぬ日となった5月14日、希望は完全に失われ、夢は砕け散っていきました。
 私は「見えない手」に怒りました。絶望を味あわせるためにと希望を、深い谷底へ自ら落ちていくようにと夢という目隠しを与える者へ心の底から湧いてくる純粋な怒りであり純粋な憎しみでした。

 さて、先週、数年ぶりに「34丁目の奇跡」というアメリカのクリスマス映画を見ました。
 デパートのクリスマス商戦にサンタクロース役に雇われた老人が、自分は本物のサンタと言ったことで大人たちが自分たちの子どもにサンタクロースやプレゼントの出所をどう説明するかでひと悶着起きるというものですが、あるシーンで老人が「私は希望のシンボルだ。人生とは悲痛なものだ。だが、自分勝手な心や憎しみを抱いていても希望があれば救われる。もし、信じる心を失くしたら、何一つ信じられるものがないとしたら、欺瞞だらけの人生になってしまう。」と言っていたのがとても印象に残りました。
 
 いや印象、と言うよりは希望や信じる心を失ったわたしにすーっと入ってきた言葉でした。

 クリスマスという日はひと時とは言えども、誰もが受け取るよりは与えることを願い、身の丈に応じて幸せや豊かさを分かち合うことが素直に自然にできる特別な日のような気がします。
 そして、この素直な気持ちは、人生で出会うことになる色々な喜びや悲しみに対して正直であり続けたいと願う心が心の片隅にいて、その心を信じることにより湧き出てくるのでは、と思うのです。また、その心の名こそが希望ではないかと思うのです。
 絶望を受け取ることにより希望を与えることができるようになる。これはちょっと素敵なことかも知れませんね。良いクリスマスをお迎えください。




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