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更新日:2008年8月28日(木)
新・若手しゃりばり人

第4回 大人を相手に講演会の手伝い



横市拓摩 大学生
 
◆ 今回は紹介する本人の寄稿が中心の人物紹介である。横市さんは、芦別市から汽車を乗り継いで(芦別→滝川→岩見沢→江別)通学している大学生。

大学以外の学びの場 

 通学に片道2時間を要する、ということは冬場であれば夜もあけぬうちに家を出ることになるが、「大学側の下宿などは考えなかった?」とお聞きしたところ、実家が乳製品の生産(高級品のバター製造で全国的に有名)を手がけていて、その手伝いをする必要があって、という答えが返ってきた。家で自分が必要とされる労働の一部を担っている充実感は、普通のサラリーマンの家庭育ちでは得られないものに違いない。

 その横市さんがお父さんに誘われるようにして、「北海道寺島塾」という名称の講演会に初回から顔を出して、受付や会場設営などに汗を流していたのは大学一年生の時からである。こうした大人たちの集まりの手伝いをすることから得るものは大きい。

 話は横道に逸れるが、先日、札幌の篠路高校の図書館(担当教員と高校生が講演のテーマに沿った資料を用意して、受付、質問時のマイク準備、記録撮影などなど)が主催する講演会があった。講師は中島岳志氏(北大准教授)。
 高校生たちへの配慮からだろうと思われるが、中島氏は自分の18歳前後の思い出話を講演の導入部で披露して、本格的な「インド」にまつわる最新の話と日本との関係などを歴史にさかのぼって展開。この企画に長く取り組んでいる塚田教諭は、「高校生たちは教室で学ぶものとは別の学びをしていて、精神的な成長は著しいものがあります」の地域に開放される高校の図書館活動がもたらす教育的効果を語っていた。

 話を元に戻すが、その横市さんに昨年、1年間、塾の手伝いをしてきたことと、先日(10月26日)の会などから大学生として思ったことを報告してもらった。以下、ご本人の文章である。

「21世紀遠友夜会」(旧・北海道寺島塾)との出会い                        
 北海道寺島塾のような講演会に行くことは、大学生になって初めての経験だった。大学生になって2ヶ月しか経っていない頃だった(2006年6月)。会場は札幌市中央区にある専門学校の教室で、そこには、スーツを着た会社帰りの人たちや、学生、おじさんたちの姿があった。

 寺島先生(且O井物産戦略研究所所長 寺島実郎氏)の話は講演会などの経験が無い私でも聞きやすく、内容を理解できるものだった。
 講演を聞き終わって、寺島先生の考えを理解できたような気持ちになっていたが、講演終了後に後片付けをしながら、当日、東京から飛行機代をかけて参加してきた他の学生と喋っていると、各々がしっかりとした考えを持っているのに圧倒されてしまった。
 
 遠友夜会での寺島先生の話は、「先日」、「つい、この間」、で始まる。
 寺島先生は2〜3か月前から先週、昨日といったまさに「今の情報」を深く、自身の考えを会場の人たちも知っているような歴史的事実や人物を織り交ぜながら話してくれる。現代社会で起こっていること(ニュースなどで言っている内容より深い部分)の知識とこれからの日本・北海道がどうあるべきかを考える上での指針などを示し、世界の流れと日本の進路を考える。

 10月26日に行われた「21世紀遠友夜会」では、日本への原油入着価格が99年1928円B(バーレル:ヤード・ポンド法の体積を表す単位)であったのに対して07年8月には8592円Bになっている。
 原油は10年も満たない間に4倍にも価格が上昇したが、普段の生活の中でそれを感じないのはなぜなのか。なぜ、石油価格高騰によるパニックが起きていないのか‥‥という話から、現代のワーキング・プアー問題をどう解決していくか。これからの若者の生業として必要なことは何かを考えていった。会場の大学生からの質問に懇切丁寧にお答をする大人の姿は、若い人たちへの温かいメッセージでもあるように思った。

 寺島先生の回答は、それを解決するには、「二つの異なる仕事を持つこと」だった。
 一つは生活をするためのお金を稼ぐこと、もう一つは自分のやりたいことをする。例えば環境問題に取り組んでいるNPOなど、自分を磨くための仕事をすることだ、と話された。

 遠友夜会を通して、今までの生活環境では知り合えないような人たちと繋がりができた。社会の問題に対する考え方や観点も変わった。企業の社長や会社員、東京から来た学生など、いろいろな大人たちに混ざって同じ話を聞く体験は新鮮であったし、自分が学生であり、もっと世の中のことを勉強する時間があることに気付かされた。

 大学のゼミの先生に講演会の手伝いとゼミへの出席について、相談をしたところ、「年に一度か二度のことだろうし、手伝いで学ぶことも大切だよ」と助言をしていただいたことの意味も少し理解できるような気がしている。

 だからといって前ばかりを見ているわけではない。「今」に至るまでの過去も重要なのだ。昔のことから良い点、悪い点、失敗した原因を深く学び、現代、そして自分たちの未来の土台を作る。次は何か、一体どんなことが聞けるのか自分に、新しい生きた知識が得られることが楽しみになってきた。
 私の中で、寺島先生は世界経済の先生でもあり、歴史の先生でもある。そして何より、未来を生きる知恵を授けてくれる「先生」なのである。









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