更新日:2007年10月10日(水)
ぶらりしゃらり
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| George W.Bush began coming of age as president this weekend. はなから横文字で恐縮だけれど、これは、2001年9月16日の「ニューヨークタイムス」の記事の一部だ。 「ジョージ・W・ブッシュは先週末をもって大統領として成熟した」といった意味の、この新聞記事は、アメリカに詳しい松尾弌之さんの著書『大統領の英語』(講談社学術文庫)に教えられた。 「先週末」とはいうまでもなく、あの「9・11」の同時多発テロの日をさす。あの大事件によって、ブッシュ大統領は「成熟」したというのである。ということは、それまでの大統領は「成熟」していなかった、ということでもあるわけだ。 事実、それまでの大統領演説には、しばしば意味不明の言葉や、いい間違えが多く、専門家の間には、「失語症」や「読書障害」をウンヌンする声まであったほどだった。それが、事件のあと「サッソウ」たる指揮官ぶりを発揮したのだから、新聞としては「成熟」といいたくなったのも無理はない。 ただし、テロとの戦いを「十字軍の戦い」だなんて表現して批判を浴び、すぐに撤回したりした「未熟」部分も大いにあった。ヨーロッパ中世の「十字軍」なるものは、虐殺や略奪のかぎりを尽くした悪の象徴とされているのに、大統領は歴史の無知をさらけだしてしまったわけだ。 さらに、「成熟」した大統領が勇ましく旗を振ったアフガニスタンへの侵攻や、その後のイラク戦争の泥沼化からすれば、「成熟」どころか「未熟」としかいいようはない。いまや、アメリカ史上、1、2を争う「未熟」な大統領かもしれないと、アメリカ国民の評価はなかなか厳しい。 「未熟」といえば、対岸のこちらだって負けてはいない。国民も一部マスコミも、はじめは結構チヤホヤしていた安倍さんが、突然の「登校拒否」的退陣で、にわかに「未熟」とレッテルをはられてしまった。 ジャーナリストの端くれとしては、ジャーナリズムもまた「未熟」だと自己批判しないわけにはゆかない。だって、安倍さんは、あの辞意表明でいきなり「未熟」になったわけではなく、はなからずっと「未熟」だったのだから。マスコミでそのことを早くから指摘していたのはごくわずかだった。 新聞は政治より先に悪くなる、といったのは哲学者、鶴見俊輔さんだったかしら。新聞には「政界部」はあるけれど「政治部」はない、と50年も前にいったのは思想家、丸山真男さんだった。 このごろ妙に酒がうまくてならないのは、秋になったせいだけではなさそう。ああ、オレは、オレたちは、何とヘナチョコなジャーナリストなのか! と悲憤慷慨しながらの酒は、失恋の酒とおなじにうまいもの。酒はナミダかタメイキか、なのである。 湯豆腐で熱燗をキューッとやるのはたまらない。嘆きも湯気とともに消えて、ほのかに元気がわいてくるもの。どうか安倍さんも、一日も早く健康をとりもどして、湯豆腐で熱燗、をとおすすめしたいが、まあ、そういう自由がないのはお気の毒だ。 湯豆腐で熱燗、という平凡が、どんなにか幸せなことかと、改めて想うのだ。 |
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