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更新日:2007年10月10日(水)
卓見・愚見(投稿欄)

心に通ずる道は胃を通る



中里準治 「寧楽共働学舎」ボランティア

 カミサンがいた頃はもちろん食事はカミサン任せで、出てきたものを食べるだけだった。
 ところがカミサンが向こう岸へいっちゃった後は三度三度の食事をどうするんだ、ということが難問になった。 



食事風景(1)地元の神社祭でのバーベキュー大会(2007年8月)
食事風景(2)寧楽共働学舎30周年記念の祝賀会(2007年夏)


 朝はトーストとジャムとジュース。なにせ、これが一番簡単で食パンをトースターに放り込むだけ。また、食パンは冷凍しておくといいということを発見した。こうすると予備が持てるので、ある朝冷蔵庫を開けるとパンが品切れという最悪の事態は回避できる。

 昼は会社の食堂で定食やお好みを食べる。一番困ったのは夕食だけど、娘が救いの手を差し伸べてくれて娘の家で食べることになった。半年もすれば娘の料理は日増しに腕が上がりカミサンの味付けにとても似てきた。嬉しい反面でちょっと複雑な気持ちがしたが、元々外食に慣れていない身としては貴重な家庭料理を味わう時間であり、とても有り難か
った。

 時折の外食は定番? のコンビニ弁当やおかずを選べる大衆食堂、回転寿司、そば屋、近所のメシ屋などで済ませたがこれが何と言うか、味付けが濃い、脂っこい、高い、寂しいの四重苦でさまざまな理由により独身である世の中の諸氏諸嬢の苦労の一端を体験させられることになった。

 かように今まで食事に無頓着でいられたのはカミサンの存在のおかげということを徹底的に知らされることになったわけだけど、同時に一人で食べる食事の味気なさを繰り返すことによって、何が「ごちそう」であるかも考えさせられることにもなった。

 さて、ここ寧楽共働学舎では米、パン、味噌、野菜、玉子、豚肉は自家製であり、無農薬の有機栽培や安全な飼料により作られたものが食卓に並ぶ。さらに春は山菜、秋はきのこという自然の恵みも追加される。魚介類は時折豚肉との物々交換で地元の漁師さんから入手する。調理もベテランの女性メンバーでおこなわれ、まぜご飯などはとても手が込ん
でいて感激物だ。

 へぼ釣師の大好物はトマトやナス、それと大根の葉っぱにごま油と七味唐辛子をふったもので、こいつをご飯の上にたっぷり入れて混ぜて食べるのが楽しみだ。

 なんとか産のこれこれ牛のステーキとか、あれこれはそれそれに限る、といったブランド品や名品はもちろん出ないが、日々三度、みんなで楽しく美味しい美味しいと言いながら安心してながら食べられる食事以上のごちそうはないだろう。

 メンバーの一人が「ここで食べていると、街に出て外食する気にならない」と言ったとか。
 正直者の食卓は貧しくとも豊かで、かつ心に通じる道なのである。







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