しゃりばり 北海道 札幌 政治 経済 金融 教育 農業 介護保険 ボランティア まちづくり 地域貢献 極東 ロシア サハリン 防災 シンポジウ
検索内容の検索
HOME
HOME > 北海道 食思譚 > 第6回 ブルーベリーを凌駕する健康果実「アロニア」
更新日:2007年8月20日(月)
北海道 食思譚

第6回 ブルーベリーを凌駕する健康果実「アロニア」



田村吉史 北海道立食品加工研究センター 食品バイオ部醗酵食品科長

 北海道の気候に合う小果実として北海道に入ってきて30年、センターで検討し始めて8年、ハスカップと同様の人気健康果実に成長させたい研究者のレポート。

はじめに

 経済産業省の報告では、健康食品市場は推定で1兆2300億円(2004年)の規模があり、前年比12%の伸びを示しています。2010年には3兆2000億円の市場規模になると推定されています。
 健康食品市場でアントシアニンが目に良いという情報が広く浸透し、アントシアニンを前面に出したたくさんの商品が出ています。これらの多くがブルーベリー等のベリー類による商品で、いずれも高いアントシアニン量を売り言葉にしています。

 健康食品市場におけるブルーベリー市場は220億円(2004年)で他のベリー類を圧倒しています。ブルーベリーは生食でも美味しく、ジャム、ヨーグルトソース、ジュース、パイや製菓原料としての加工適性があり、凍結にも強いという優れた小果実であるばかりでなく、健康食品としても広く世間に認められています。
 ブルーベリーの機能性は第二次世界大戦のイギリス軍パイロットの経験から目によいとされ、アントシアニンがその成分とされています。北欧のビルベリーはカナダ産や栽培種のブルーベリーの2〜3倍のアントシアニンを含んでいることから、健康果実として高い人気があります。

 現在、北海道で栽培が広がってきているアロニアは、ブルーベリーの数倍のアントシアニン含有量があり、凍結にも強いことから小果実としての利用ばかりでなく、今後ブルーベリーを凌駕するような北海道産の健康食品素材となりうるものです。当センターはこれまでに、成分分析・加工食品への利用そして機能性解明に取り組んできています。

北海道のアロニア

 アロニアはバラ科の落葉低木で北アメリカが原産です。花木として庭に植えられ、花は小さく、ピンク又は白色をしており、秋の紅葉もきれいで、果実も鑑賞価値のあるものです。
 アロニアは三種類有り、現在北海道で主要に栽培されているのは、アロニア・メラノカルパ(Aronia melanocarpa Elliott)で、約200年前に北アメリカからヨーロッパに移入され、100年くらい前にロシアに移入された後、昭和51年(1976)に旧ソ連から日本(北海道)に導入されたものです。

 独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター(旧農林水産省北海道農業試験場)において適応性試験が行われ、同時期に旧林野庁林木育種場(江別市)でも栽培を始めましたが、広く人々に知られることはありませんでした。1986年に佐藤碩夫(ひろお)さんが、北海道みんぞく文化研究会から発行された「北海道を探る」9号及び21号に「ナナカマドを召し上がれ」と題した植物誌をお書きになり、その中で「黒い実のナナカマド」としてアロニアについて多くの情報を記されています。
 この本はすでに書店にはなく、古本屋で探さなければなりませんが、入手困難なロシアの文献等から多くの引用があり、アロニアを知る上で貴重な資料です。アロニア・メラノカルパは樹高が2m程度の灌木で苗条が多くて細く、葉は単葉、楕円形で長さ4〜8cm、幅3〜5cm、表面は暗緑色で光沢があり、9月中旬から紅葉し、赤紫色になります。耐寒性は強く、−36℃まで耐えることができます。

 花は小さくナナカマドによく似ていて6月の初めに開花し、そのほとんどが結実します。果実は球形で初めは緑色で熟してくると光沢のある暗藍色を帯びた黒色になり、大きさは径が約15mm、重量は1g程度になります。収穫は9月中頃で11月近くまで収穫を遅らせると、ブルーム(果粉)が出て糖度も高くなります。
 果肉も黒色で甘酸っぱく、そして渋みがあります。収穫は4年目辺りから可能となり、北海道農業研究センターのデータによると7年目で1本当たり5kg、14年目で10kg、20年目で15kg、30年目で20kgの収穫量が報告されています。

栽培面積の拡大

 アロニアは世間に知られるようになるまでに移入から約20年、有用な北の小果実として注目されるようになるまでにはさらに約10年の時間がかかりました。
 平成10年(1998)から江別市内で苗木販売が開始され、現在では本格的な新農作物としてアロニア栽培が全道に広がってきています。江別市民の方々を中心にしたアロニア研究会が平成12年に発足し、栽培を中心にした情報交換や現地視察などを実施しアロニアの普及を促進しました。

 農作物として栽培へ取り組んだのは伊達市大滝区(旧大滝村)が最も早く、平成2年(1990)に北海三共(株)大滝バイオ農場でアロニア栽培が始まり、平成13年度(2001)には村としてアロニアを奨励作物に指定して産地化を図ると共に、その加工利用を模索しています。

 現在北海道内のアロニア産地は伊達市大滝区、旭川市、富良野市、千歳市、江別市、北見市と拡大してきています。道外では長野県松本市奈川村、岩手県盛岡市で栽培されていますが、取り組みの早さや広がり、収穫量で北海道が圧倒的な先進地です。
 アロニアは樹木であるため、1本当たりの収穫量は年々増加します。道内各地における栽培本数は飛躍的に増加していることから、今後収穫量の激増が予想されます。

アロニアの成分と加工

 前述の植物誌には成分についても多くの記述があります。これによるとアントシアニン、カテキン、フラボノイド、クロロゲン酸などのポリフェノール類、各種のビタミン類が豊富に含まれていることが記載されています。
 また、田中らの報告ではタンパク質0.7%、脂質0.1%、炭水化物14.4%、灰分0.4%、有機酸はリンゴ酸、糖類はソルビトール、グルコース、フラクトースが主体とされ、ブルーベリーと比較してポリフェノール量は約2倍、ビタミンAとしては約20倍含まれており、この他にβクリプトキサンチンが多いことが明らかとなっています。

 アロニアの成分は、品種、栽培地及び収穫時期などにより変動します。成熟果のアロニアはアントシアニンを多量に含み(1900mg/100g)、ビルベリーの約5倍といわれています。このように有用な成分が多く、ロシアでは補助薬剤として多くの病気に効果があるとされています。食べ方については、ジュース、ジャム、ピューレ等の作り方の記載もあり、いろいろな食べ方をされていることが分かります。

 前述のアロニア研究会でも「アロニアを食べる会」として多様な食べ方を検討しており、アロニアレシピ集の作成を行っています。アロニアは、果皮が硬く酸味渋みがあり甘みも弱いことから生食とするよりも、加工食品とするほうが有効な利用方法であると考えられます。
 お菓子への利用は旭川や江別のお菓子屋さんが先進的に取り組み和洋菓子へ用いられ、ジャムは「北海三共(株)」から商品化され徐々に普及してきています。小果実であることからジュース、ジャム、アイスクリーム、和菓子、洋菓子などのお菓子類への加工から始まり、現在では、ワイン、食酢、蕎麦そしてサプリメントなどへ用途が広がってきています。

食品加工研究センターとアロニア

 当センターとアロニアの関わりは8年近くになります。この間に成分分析、ジャム、グミなどへの利用や退色防止方法の検討、ワイン、食酢そして粉末の利用方法としてパン、麺への利用など多方面に検討を行ってきました。これらの技術は北海道内の企業等へ伝えられています。
 アロニアから造ったワインはライトな風味に造られていますが、ポリフェノールが多く抗酸化性が強いワインで、平成17年から「ばんけい峠のワイナリー」で発売され好評を博しています。また食酢にすることで食酢の機能性を併せ持つものとなり、抗酸化性は他の食酢の数十〜数百倍強い食酢となります。

 アロニアビネガーは「中山酢醸造」で製造販売されています。パン、麺などはアロニアを配合することで色がきれいであるばかりでなく機能性の高い食品とすることができます。アロニアを配合した手打ちそばは、伊達市大滝区の三階の滝にある「レストランタピオラ」で味わうことが出来ます。
 また、日常的に食べられるものとしては、アロニアヨーグルトが「牧家」で製造販売されています。さらに、いろいろな加工方法や機能性の検討そして安全性の情報などが道外企業にも伝わりサプリメントが製品化されています。

「(株)ワック」(京都の企業)から伊達市大滝産のアロニアと冬虫夏草と組み合わせた商品「アロニア冬虫夏草」が製造販売されています。現在、北海道の企業だけでなく道外企業もアロニアに注目し始めています。北海道に導入されて約30年、当センターが検討を始めて8年、アロニアはハスカップと共に北海道を代表する小果実になりつつあります。今後激増が予想される収穫量に対応するため、さらに有効な加工方法、そして機能性の探究が求められています。当センターは今後もアロニアをバックアップしていきます。


【参考資料】
「北海道を探る」 北海道みんぞく文化研究会 21 (1991)
「アロニアの化学成分と特性値」 食品科学工学会誌 Vol.48 No.8(2001)
「ブルーベリーの最新事情と将来展望」 食品工業 Vol.41 No.16(1998)
「アロニアレシピ集」 アロニアを食べる会 (2004)

田村吉史氏
神奈川県出身 
1985年 帯広畜産大学農産化学科卒業 
 同年 道内民間企業入社 
1991年 北海道入庁 北海道立工業試験場食品部
1992年 北海道立食品加工研究センター加工食品部畜産食品科
1996年 同 発酵食品部発酵食品科
2002年 同 発酵食品部調味食品科長
2004年 同 食品バイオ部発酵食品科長
現在に至る。









一覧へ戻る







ROYCE' 「大人のショコラ時間」・・・ロイズのチョコレート。雪華亭 北海道が生んだ本格派かに料理専門店北のお魚.net 北海道の食材を生産者から直接お届け!
しゃりばりとは・・・
「しゃりばり」とは「CHARIVARI」。中世から19世紀までのヨーロッパで広汎に認められた民族的現象の一つです。「どんちゃん騒ぎ」「なべかまセレナータ」という訳語があてられています。私たちはこの北海道を舞台にCHARIVARIのごとく陽気に元気に、多様な考え、実践を通して、過去・現在・未来の北海道を熱い想いと冷静な判断で郷土の可能性と文化を読者の皆様とともに再構築していきたいと思います。
メルマガ登録はこちら(無料)
しゃりばり投稿募集
2008年1月号から「しゃりばり」の投稿欄を設けます。
2000字前後で「しゃりばり」へのご意見、ご感想などをお寄せ下さい。
掲載させていただいた際には、図書券(2千円)を進呈いたします。
詳細はこちら
HOME運営組織案内プライバシーポリシーメルマガ登録お問合せ旧サイト
ページ上へ
社団法人北海道総合研究調査会(略称:HIT)
〒060-0004 札幌市中央区北4条西6丁目毎日札幌会館3階
TEL 011-222-3669/FAX 011-222-4105